監督:Jacques Demy (1968)
評価:A
【概要】
フランスの軍港ロシュフォールが舞台のミュージカル映画。お祭りの季節に合わせてやってきたスタントマン、水兵として働いている青年、昔の恋を忘れられずに出会った街で喫茶店を続ける夫人とその娘たち。皆が本物の愛に憧れ、それを探し求めて生きている。はじめは皆バラバラで同じロシュフォールにいることだけが共通点であったはずなのに、些細なきっかけをもとにそれぞれの赤い糸が少しずつ紡がれていく物語。
【所感】
・音楽と踊りはSSS。クラシックとジャズのいいとこどりのような曲調がとてつもなく洒落ていて、今聴いても全く褪せないメロディ。中でもテーマソングは恋や愛の切なさや儚さ、惑わされるような美しさを感じさせる音楽で、なんとも優美。
・1960年代の色々な意味での勢いの良さが滲み出ていた。テーマや音楽も明るく前向きで衣装がカラフルで華やか。女性もミニスカートやボディラインが出るものが多いのが特徴的。
・映画の中で何度か出てきたのが、「戦争狂よ」「世界中戦争ばっかり」と言ったようなセリフ。戦争を経験してきている時代の人たちだからこそ生きているだけでもラッキーで、自ずと前を向けた時代なのかなと思った。愛や恋に走るのも、自然なのかもしれない。現代少子化や晩婚化、未婚率の増加が問題になっているが、おそらく命の危機にさらされるようなことが起こったらこれらの問題は解決に向かう可能性もあるのだろう。結局はお金より本能だなんて、皮肉なもんだ。
・また時間を置いたらみたくなる日が来るかもしれないが、見ないかもしれないのでA。音楽はしばらく聴き続けてしまいそう。